食×京都×「わしょく宝来」

私は、生粋の京都人だ。だからこそ、本物の京グルメと擬物を見分ける目と舌を持っていると自負しているし、本物の京グルメを発信する義務があると思う。
京都とは賛否両論あるが、北は今出川通、西は堀川通、南は五条通、東は北白川通に囲まれたエリアを呼ぶ。私はそのエリアの中心で生まれ育ち、母親が料理人ということもあり京流の食育を受けてきた。
料理とは、素材を活かす技術であり、活かした結果としての食べ物、である。
料理に関して、京都の右に出る都道府県はないと思っている。古くから4つの料理文化が融合しているからだ。
  1. ​皇族向けの宮廷料理
  2. 禅宗向けの懐石料理
  3. 庶民の外食向けの会席料理
  4. 庶民向けの家庭料理
料理に限らず、供給側の技術の高さは需要側の質と量の影響を大いに受ける。この法則に則ると、京都の食需要は質と量共に国内トップであり、技術の高さも同様だ。
今日は、比較的直前の予約が簡単で、気軽に頂け
る店を紹介したい。石塀小路沿いにある「豆ちゃ」で経験を積んだ方がだした「わしょく 宝来」だ。
京都には大きく4つの店が存在する(フランチャイズなど他都道府県に存在する店は除く)
  1. ​観光客相手に金儲けに走るカジュアルな店
  2. 地元民に愛される拘り溢れるカジュアルな店
  3. 観光客相手に金儲けに走るフォーマルな店
  4. 地元民に愛される拘り溢れるフォーマルな店
「わしょく宝来」は、私の中では4だ。国内外の観光客が増えたために、2から1へ変貌する店が後をたたないし、金儲けのために府外から来る1や3のような店も多い。例えば、先斗町は1と3の溜まり場になってしまい、地元民は寄り付かなくなってしまった。そんな擬物が増えている中で、観光客に迎合せず己を貫く稀有な店が「わしょく宝来」だと思う。

店構え
東大路通に面している
小松菜と茸のおひたし(いわゆる、たいたん)
柚子の皮を剃って、香りを引き立てていることに技アリ。おひたしの味がその店の味を決める。シンプルだからこそ、技術としての料理に誤魔化しはきかない
毛ガニはすだちと共に
カニ酢は毛ガニの味を邪魔しないように、酸味より甘味が優先されていることが技アリ
若竹とわかめのお吸い物
しっかりと季節を味わえる食材を出してくれる。若竹の食感をわかめが邪魔しないように、圧力鍋で柔らかくされていることに技アリ
左から、鰤、赤貝肝付、鰆の炙り
関東の鰆は冬だが、関西は春だ。京都では鰆は季節もの
牡蠣フライ山椒のせ
牡蠣と山椒の相性が抜群。山椒は佃煮になっているので少し甘味を感じるので、牡蠣の甘味をより引き立てていることに技アリ
和牛の炙り
岩塩と山葵がベスト。フレンチのように牛肉の味より、ソースの味が際立つ料理は好きではない。あれは、「肉料理」ではなく、「ソース料理」と呼ぶべきだ
お口直しに、トマトのおひたし胡麻和え
トマトと胡麻の相性が良い
王道の出汁巻き
おろしと胡椒の香りが、卵と出汁の味を引き立てている。胡椒を散らしたことに技アリ。基本的なことだが、調味料や香辛料のちょっとした工夫だけで、一段と美味しくなる。組み合わせが大事
鯖寿司
京都はお公家さん向け料理なので「寿司」、東京は新鮮さと旨味を重視するので「鮨」、使いわけ出来ていない店には行かない

場所

気ままに旅日記

私は、好き嫌いの基準が明確である。 「こうあるべき」という尖った嗜好がある。 とはいえ、他の嗜好は否定しない。 理解するし、存在を認めるが、極端に同意しない。 そんな私の独断と偏見溢れる世界を表現したい。

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